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第6章 溶接の検査と技量検定(指導書P.93参照)

最初に述べたとおり、溶接方法の短所の一つに検査のむずかしさがあげられる。最近、検査方法も急速に発展してきつつあるといっても、船体の場合、すべての溶接部について検査を行なうことは至難のわざであり。それゆえ溶接作業員は、欠陥のない完全な溶接を行うことを使命とし、健康はもとより常に旺盛な責任観念と研究心をもって作業することが必要である。
6.1 溶接部の検査方法
検査には破壊試験と非破壊検査とがあるが、破壊試験は溶接の施工法を決定するための実験的な検査や試験片に適用される場合が多く、船体に適用されることはほとんどない。
非破壊検査では、船体の溶接検査の場合、外観検査、漏洩試験、浸透探傷検査、超音波探傷検査、磁気探傷検査、放射線検査等の方法がある。
(1)外観検査
外観検査は溶接されたビードを、肉眼で視認検査するもので、船主等の関係者が多いに関心を持つところであるが、ビードの外観の状態によってある程度溶接ビードの内部の”品質”を憶測することができる。
ビードの外観検査で対象となる点は?@アンダーカット、?Aオーバーラップ、?Bピット、?C割れ、?D脚長およびノド厚の過不足、?E偏肉の有無、?F余盛りの過不足、?G目違いの有無、?Hビード外観の美麗さ、?Iその他キズ、などであるが検査を受けるときの心がまえとして、スラグ箸は完全に除去し、事前にチェックして必要個所をすべて手直してまわりを完全に掃除し、検査官等に作業性及び品質を信頼されるような状態で受検することが肝要である。そのためには溶接作業者一人一人の良識と責任感が必要であり、これが長い間には造船所に対する評価となって反映されるのである。

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